先日紹介した『グラゼニ』を読み進めてます。
7巻では、これまで中継ぎピッチャーだった夏之介が、先発として起用されるようになります。
そこで夏之介は、「先発投手としての在り方」に悩むわけです。
「6日に一度しか仕事しないのに、年俸2600万円だなんて、自分には合わない!」
と。
(活躍によって、夏之介の年俸は1800万円から2600万円に増額してます)
一見すると、贅沢な悩みのように見えます。
しかし、高給取り(に見える)野球選手にも、それはそれは辛い苦悩があるようなのです。
野球を知らない人のために簡単に説明すると、
野球チームには投手と野手が所属しています。
投手の中にも大きく分けて3つの役割があり、
先発、中継ぎ、抑えというものがあります。
基本的に、プロ野球では、
先発投手は6日に1回ほどの登板になります。
「今日初回から投げて、明日もまた登板」ということは基本的にありません。
(だからこそ、2013年日本シリーズの田中将大投手の連投は語り継がれるわけですね)
夏之介が先発転向後は、
先発でないときは、自分のチームの試合がある日でも、
遠征先のホテルで試合観戦するようになります。
中継ぎ時代は毎日ブルペンで肩を作って、ウォーミングアップしていました。
それでも試合に出ないで終わる日もありましたが、
「使われるかもしれない」という緊張感を保ち続けていれたようです。
一方で、先発転向後は、完全に6日に1回のローテーションのスケジュール。
今日先発で投げたら、次の登板は中5日の6日後。
しかも雨天で試合が流れたりすると、
次の日にずれ込むわけでなく、1回休みとなり、
ローテーションの間隔がさらに空くこともあるようです。
6日に一度、最大限のパフォーマンスを発揮し、
チームを勝利に導くために全力投球し、
他の日は調整を続けながら緊張感を保ち続ける。
試合に出るのが「仕事」で、それ以外を「休み」とカウントすると、
先発投手が働いているのは「6日に1回」となりますが、
登板がない日も集中力を切らすわけにはいかないので、
「体は休んでいるけれども心は休まらない」そんな複雑な状況が続きそうです。
そんな風な精神状態を1年間も続けなければならない先発投手。
そう考えると、本当に高次なセルフコントロールのもとに成り立っている仕事だと言えますね。
何事も、切り取り方で、
いいように見える時もあれば悪いように見える時もあります。
「6日に1回働いて、年俸数千万~数億円」と見ると、
「野球選手ってうらやましいなぁ」と映りますけど、
「年間140試合を戦い抜き、束の間のオフの後次のシーズンの準備。それを何年も」と考えると、
「野球選手って大変だなぁ・・・」って風に映りますね。
と、『グラゼニ』の7巻の半分ほどを読んで思ったことを書いてみました。
先発転向後の夏之介がどうなったのか、続きを読んでみます。
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