2019年2月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2440ページ
1.1Q84 BOOK 3
青豆と天吾は、正しい人間ではないかもしれない。突き詰めれば、償うべきことはいくらでも出てくる。しかしそれは、我々がこちら側の世界から見て-レシヴァとして-抱く感想だ。主体と客体が入れ代われば、我々も似たような世界に生きているのかもしれない。リトル・ピープルや、空気さなぎにまだ出会っていないだけで(もしかしたら、出会っている人もいるかもしれない) 。僕も準備ができたら、201Q年に迷いこんだであろう出口から、反対にたどってみよう。まだ準備が必要だ。まだいくらか嵐の夜を、声を潜めて越す必要があるかもしれない。
2.銀河鉄道の夜 (まんがで読破)
なるほど、こういう話だったのか。科学が発達して、現代では常識とされていることがたくさんある。しかし、過去は過去で、そのときの精一杯が世界の全てだった。「お前はもう夢の鉄道ではなく、ほんとうの世界の激しい火や波の中を、大股にまっすぐ歩いていかなければならない」原著も読んでみたくなった。
3.こぼれ落ちて季節は
カトチエさんの本は初読み。若林さんとの対談本等で気になってはいた。恋愛をモチーフにした群像劇。話を聞いていた方の相手の視点に切り替わり、物語のバトンが繋がっていく。基本的に、人って、自分から見えてる世界しか信じていないよね。相手には相手の視点がある。相手の視点を想像して、当たることもあれば、外れることもあるみたいだ。けれど、相手の視点を想像しすぎるのもあまりよくないね。「今、ここ」から離れていくに連れて、恋愛の温度も冷めていくのだろうか。過ぎ行く時間はいつの間にか、味方をしてくれるようになる。
4.メガネと放蕩娘
商店街再生の物語。本当にどこかの商店街を描いているようなリアリティーがある。一過性のイベントはあまり効果がなく、リピーターが獲得できないみたいだ。お互いの顔がわかること、ファミリー感が商店街の魅力なんだな。イベントを企画する機会のある人は、読んでおいて損はない一冊かも。
5.エミール (まんがで読破 MD111)
「足るを知る」ための本かな。人は人間と事物と自然によって教育される。不幸はものを持たないことにあるのでなく、それを感じさせる欲望のなかにある。子どもにはいろいろ体験させて実感させる。エミールからソフィへ、「僕の心は決して変わりません。だからあなたも変わらない心をもっていてください」結局どの時代でも、溢れるところには欲が溢れているんだな。「現代における教育論」というのは、どの時代でも常に求められている。
6.まにまに
面白いなぁ。西さんってとってもキュートだ。テンポが良くて話を聞いているみたいなエッセイ。西さんは「どや感」にすごく敏感なのがわかった。6年分のお話を一気に読めるってすごいな。
7.失われた時を求めて (まんがで読破)
「貴族のサロン」って遠い存在かなと思ったけど、現代のSNSに置き換えてみるとちょっとわかるかも。それぞれの関係性は常に変化していく。周りの変化と同じくらい、自分も変化していく。「今、ここ」は過去から続いている。未来は「今、ここ」をスタートとして始まる。「満たされた」という感情は、人を冷めさせてしまうのかな、と思った。
8.試着室で思い出したら本気の恋だと思う (幻冬舎文庫)
切ない雰囲気のお話が続く。この服を着て出掛ける気分は、JPOPの歌詞のようなものではないかもしれない。時代が違えば、短歌にひっそりと偲ばせるような想い。それでも新しい服を着て、お出かけするんだ。「衣」は「意」を変えてくれるから。
9.翻訳できない世界のことば
傍らに置いて、時々読み返したい素敵な本。そのときそのときで、フィットする言葉に出会えそう。日本代表の言葉のひとつは「積ん読」。アイスランド語の「tima:ティーマ」も、「時間やお金があるのに、それを費やす気持ちの準備ができていない」という意味らしく、ちょっと似ている。スウェーデン人はコーヒーが好きで、一人あたりEU平均の2倍の量を消費するらしい。スウェーデン語でコーヒーを飲みながら楽しむ時間のことは「fika:フィーカ」というそうだ。
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