「もし、ぼくとぼくのニセモノがいたら、ほんもののぼく、わかる?」
息子に尋ねられた弁護士の城戸は、
思い出を聞けば、内面を知ればわかるさと、息子を納得させた。
しかし、ならば内面もすり替えてしまえば、
ある男は別のある男になってしまうのだろうか。
「理恵の旦那」である
「谷口大祐の訃報」から物語は始まる。
しかし、
弔問に訪れた大祐の兄、恭一は、
遺影を見て
「これは大祐じゃないですよ」と話す。
その男は本当は誰なのか。
その真相を探るうちに、自分が何者なのか、
アイデンティティは何によって証明されるのか、
考えてしまう作品である。
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