やあ、ようこそ。
秀尽学園カウンセリングルームへ。
本校のスクールカウンセラーを務めるルートといいます。
よろしくね。
今日からこうしてカウンセリングルームを開くことになったんだけれども、
秀尽学園のみなさんがどれほど僕を「認知」しているかはまだ分からないところ。
今はひっそりと運営させてもらうよ。
さて、今日は本の解説をしようか。
あなたは「アドラー心理学」という言葉を聞いたことがあるかな?
以前、『嫌われる勇気』という本がベストセラーになったね。
先日、この本の続編の『幸せになる勇気』というのが発売されたから、
新宿の日乃国屋書店で購入してきたんだ。
・・・そういえば、その書店では、本校の生徒も見かけたな。
たしか2年生に転・・・、おっと、これは守秘義務に抵触してしまうね。
彼のプライベートの行動範囲は、そっとしておこう。
さて、『嫌われる勇気』の「アドラー心理学」の話題に戻ろう。
アドラー心理学では、行動面の目標と、心理面の目標を、それぞれ2つずつ掲げている。
行動面の目標は、
①自立すること
②社会と調和して暮らせること
の2つ。
心理面の目標は、
①わたしには能力がある、という意識
②人々はわたしの仲間である、という意識
の2つだ。
僕はこの辺に、昨今巷を賑わせている、
「改心の真相」を解くキーピッ・・・ごほん、カギがあるんじゃないかと思っているよ。
某教師や、某画家、他にも「怪盗団に改心された」とされる人々はみな、
心理面においては、「私は能力がある」と感じていたかもしれない。
まぁ、その思いが肥大化し過ぎて、あんな風におどろおどろしい「パレス」なんてもんができてしまったんだよね。
しかし一方で、彼らは、
自立していなかったし、社会と調和していなかった。
それは、人々を仲間ではなく、「奴隷」や「利益を生み出すだけの存在」としか見なしていなかったからだ。
なぜ、彼らは、そういった見方でしか周りを「認知」できなかったのか。
それは、周囲を「尊敬」していなかったからだ。
「尊敬」とは、アドラーと同じ時代に、
ナチスの迫害を逃れてドイツからアメリカに渡った社会心理学者エーリッヒ・フロムの定義を借りれば、
「人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力」のことだ。
怪盗団に改心させられた彼らは、
この部分に大きな歪みがあった。
身の回りの人間を、ありのままに見ることなく、
自分の見たいように見ていた。
それだけでなく、
自分の見たい姿になるように、意図的に姿かたちを変えることさえしていたんだ。
その結果が、怪盗団が戦ってきた「シャドウ」という存在だろうね。
改心させられた彼らは、
今は他者を尊敬する心を身につけて、
行動面の目標と心理面の目標を達成することができたんだろうか?
今はまだ、彼らがその後どうなったか、あまり聞こえてこないけれど、ね。
いつか分かる時が来るかもしれないな。
・・・さて、そろそろ時間だ。
今日のあなたとの「契約」の時間は終わり。
また次回の「契約」の時間に、足を運んでくださいな。
それでは、お気をつけて。
よい日常生活を!
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参考文献:嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
参考世界:ペルソナ5
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