第159回 直木賞受賞作『ファーストラヴ』など、島本理生さんの本の感想まとめ

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1.第159回 直木賞受賞作】ファーストラヴ

それぞれの形のファーストラブがある。恋人同士だけでなく、親への愛、子どもへの愛、兄弟への愛、友情と境目のわからなくなる愛、など。自分が頂いてきた愛を、大体の人は普通として受け入れる。社会的に深い関係性の中には、必ず愛は存在するだろうと、盲目的に考えてしまう。そこにある盲点は、迷宮に繋がっている。登場人物みな個性的でよかった。我聞さんの包容力がすごい。欲を言えば、彼の過去ももっと知りたかった。迦葉の人たらしなところも単純にすごいなって思う。心理職を目指す学生さんは、ぜひ読んでみて欲しいな。

 

2.あられもない祈り

なぜ温度差は生まれるのか?なぜすれ違いは生じるのか?そう考えながら最後まで読んだ。p104「目を閉じて言い聞かせる。たしかに私は馬鹿だったし、遅すぎた。だけどここにたどり着くまでにはどの過程を抜かすこともできなかった。一から七には飛べない。」ひとしきり考えたあとで、この文章に少しだけ救われた。

 

 

3.あなたの愛人の名前は

歩いていると、いつしか周りの景色は遠くなって。2人で進む上り坂は、まるでエスカレーターのようで。すいすいと上っていきながら手を繋ぎ、「キレイだね」「え?景色と私どっち?」なんて笑いあってると、いつしかエスカレーターは下りに変わっていて。それはエスカレーターどころでなく、ジェットコースターを思わせるぐらいのスピードで降りられなくなって。しがみついて落ち着くのを待って、ようやく降りられると思えば、隣にいた人はもういない…。となる人もいれば、しっかりと2人で降りて、手を繋いでまた次の乗り物に乗っていく人もいる。

 

 

4.わたしたちは銀のフォークと薬を手にして

先日中学校の同窓会に行ってみた。成人式以来、10年以上振りに会う人ばかり。10人ほど集まって、結婚していないのは自分だけ。肩身の狭い思いをしていたが、一人が「これから楽しみがあっていいなぁ」と言ってくれた。それに深く頷く人もいた。ただの慰めの言葉だけではないように思えた。社会では「まだ」結婚していないと見られる自分を、「これから」結婚する人と見てくれる同級生は暖かい。結婚していない人も、結婚している人も、それぞれが悩みを抱えていることがわかった。知世や知夏のように。今の自分には雰囲気が合っている作品。

 

 

 

5.クローバー

散歩中に四つ葉のクローバーを探してみた。なかなか見つからない。一枚の葉がきれいに裂けて四つ葉風になっているのはあった。小学生なら四つ葉と言い張るかもしれない。でも葉が4枚というのは見つからなかった。冬冶は、双子の姉の華子と父と母の4人家族を、四つ葉のクローバーに例えている。冬冶と華子は、最初は一枚の葉が半分に裂けた存在だったかもしれない。しかし、それぞれ大切な人に出会えて、一枚の葉として形になった。冬冶はドーナツを探すように頼まれたけど、「四つ葉のクローバー見つけてきたらいいよ」って条件もまた素敵かもね。

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著者:ルート


不登校の子どもたちの支援者として働いているルートです。中学校1年生の時の不登校体験や大学院時代の休学体験を活かし、同じ悩みをもつ子どもたちの支援者となりました。
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