2017年9月の読書まとめ

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2017年9月に読んだ本は14冊。
読んだページ数は4507ページでした。

1.夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

一冊で何度も美味しい本。村上春樹さんのインタビュー集。インタビューしてくる相手は日本人に留まらない。あの小説はこんな思いで書きました、というような裏話が書かれている。まだ読んだことのない本も多いので、ぜひ読んでみたい。村上春樹さんの誠実さ(という表現がフィットしているかわからないが)が、それぞれのインタビューに現れている。村上春樹さんは、身体性をとても大切にしているというのがわかった。黙っていると、時代と衰えとともに、身体性は失われていく。自分も自分の深いところを探ってみたいと思えた一冊でした。

 

 

2.君は月夜に光り輝く (メディアワークス文庫)

「かわりに卓也くんが、…………………………。」その空白を埋めるまみずのお願いは、卓也にとって、最初は鬱陶しいものだった。まみずに訪れるであろう運命を知り、空白を埋める作業は、いつからか卓也が自分から求めるものとなった。遺されたものができること、それは、今日もかわりに、自分が…………………………………………………………………………………………………………………………。いくらでも叶えられるように、目一杯空けておくよ。

 

 

現代に持ち合わせていると便利なスキルのひとつに、「軽さ」というものがある。目の前のチャンスに飛び付ける、あるいはやりたいと思ったことをすぐやれる力という意味での「軽さ」である。高城(たかしろ)さんは「軽さ」を持っている人だと思う。とはいえ、作るもののクオリティーが低いという意味の「軽さ」は無い。いつも今の仕事が一番いいと思えるくらい、全力で楽しめているようだ。斬新なという「軽さ」はある。過去にとらわれない今と、これからの時代の流れを読むのに長けているのだろう。

 

 

虚数iは、2乗することで-1になる。数学者は、自分が定義した世界の中で、論を進める。アイは綾子とダニエルのもとに養子として迎えられた。ミナと出会い、ユウと出会い、過ごしていく一方で、名も知らぬ、事件や事故の犠牲者たちの描いた軌跡と、無数にすれ違う。もしかしたら、自分もあちら側にいたのかもしれない、とアイは考える。アイも「なぜ私がこんな思いを」という体験を乗り越えようとする。数学の世界に魅せられたアイ。私を意味する方のIも、自分がここにいると定義することで、存在が確かなものになるんだろうか。

 

 

 

今ではもう、夜通し起きていることは、したくないと思うようになったけれど、夜通し起きて、朝寝ることが許されていて、いつの間にか日常になった日々が、僕にもあった。始発電車がようやく動き始めた時間に、白んだ空の下、帰路につくこともあった。自転車で浴びる風邪が冷たかった。始まったばかりのコーヒーショップの大きな窓から、名も知らぬ人々のベルトコンベアを眺めていた。あのときは、朝日が昇ってからでないと、眠れない体になってしまっていた。あのときのことを思い出して、今日は大多数の人と似た時間に寝る。また明日も朝が来る。

 

 

自分の保持している知識が多いほど、新しい情報を覚えやすいというのは納得がいく。新しい情報への関連付けがしやすくなる。脳内でいかにリンクを張るか、ネットワークを構築するかが大事だ。記憶ができないというのは、覚えられないのではなく、記銘エラーか想起エラーの可能性が高そうだ。記憶術を高めるためには、何を覚えるか決める。覚えるものを、揺るがないペグと結びつける。あとは順番に思い出す、という手順に慣れる必要がある。頭文字法、物語法、場所法等、覚えるもののサイズに合わせたペグを使って、覚えていこう。

 

 

私も大学、大学院時代に奨学金を借りているので、なかなかの借金を背負って社会人となりました。まだまだ先は長いけど、なんとか返していくしかないですね。もしも返せなくなったときのために、制度を知るために、こういう本で理論武装しておくのは、とても大事だと思います。

 

 

M-1グランプリ2008での活躍を、「出会い頭の事故」と表現している若林さん。あの日から、生活は一変したようだ。表舞台で活躍しながら、必死でいろんなことに慣れようとしていたようだった。「慣れは強い」と語っている。「成長や主義よりも全然早くて強い」と。ハガキ職人のT君とのエピソードが印象的だった。時間の経過、経験の積み重ねで、自分は変化していく。その時その時の変化を受けとめ、感情を爆発させたり、冷静さを保ったりする間で、たくさん揺れた幅の絶対値が、いつかその人の魅力になっていくんだろうな。

 

 

舞台演劇の本。佐々木飛鳥という天才…いやギフテッドが主人公。いやギフテッドでもないか。芝居を完全再現するAIみたいな。天才、ギフテッドは響子さんの方かな。いや私は努力してここまできたのよと怒られそう。舞台においては、演技ももちろんだけど、演出もかなり重要なんだなっていうのを、飛鳥のアイデアで学んだ。「蜜蜂と遠雷」の後にこれを読めたのも、ひとつの幸せ。風間塵のピアノと飛鳥の演劇がコラボしたら、何が生まれるだろう。抽象度が高すぎて、ついていけないかな。飛鳥の演技のベースが空手で身体性のテーマも感じた。

 

 

まさにタイトルの通り。中学受験を考えたら、読んでおいて損はない。頑張ったら報われる!という某通信教材のDMのノリかと思ったら、残酷な結末も待っている。とはいえ、結果をどうとらえるかで、その後は変わってくる。合格が成功とは限らないし、不合格が失敗とは限らない。「大丈夫?と子どもに聞くのは、親の不安な気持ちを安心させる言葉」というのは、ほとんどの親子関係で役立つ心構えではないか(とはいえ、言っちゃうんだよねぇ、だいたいは)。親も向上心を持っている家庭であれば、子どもに中学受験を勧めてもいいかもしれない。

 

 

パフォーマンスが落ちてきたなと思ったら、またぜひ読み返したい。集中時間の量を増やすことは、物理的に難しいでしょうってことで、質を高めましょうという本。運動は本当に大事なんだなぁ。運動をすることで、集中力のリセットボタンが押せるようだ。睡眠についても書かれていて、疲れがとれないなぁって人にも参考になる。重要なのは、いかに自分で決めたルールを守れるか。樺沢さんの「読んだら忘れない読書術」を読んでから、一月あたりの読書目標をクリアし続けられている。こうして読書メーターで読んだ後にアウトプットするのもできている。

 

 

記号と象徴の違いについて尋ねるために、すみれは僕に電話をかけてきた。午前4時15分に、公園の近くの電話ボックスから。そこから流れていく時間は、人工衛星のように規則正しい軌道を描いていくが、ある時途絶えてしまう。すみれがギリシャで、まるで煙のように消失した。手がかりの無いまま、日本に帰ってきたぼくの軌道上に現れたのは、「にんじん」というあだ名のぼくの生徒。ぼくと彼と、彼の母を取り巻く軌道は、善悪で判断するならば悪の象徴のように映る。しかし、各々の軌道を記号的に見ると、避けることのできない軌道だったのだろう。

 

 

ううむ、難しい。不思議な小説。途中から、一文字一文字を追うウォーキングのような読み方ではなく、文章を風景のように追うジョギングのような読み方に変えたら、なんとかゴールまでたどり着けた。不思議なもので、家がめちゃくちゃになるシーンや、終盤の迷路のシーンでは、スピードを落とすことができた。重要そうなシーンでは、スピードが緩む仕掛けがあるのかもしれない。この物語を、「わからない」として、踵を返して読み終わることもできるが、とりあえず下巻の最後までは走ってみたいと、今は思う。

 

 

あと一週間と少しで、年齢の十の位がくりあがる自分としては、図書館の先生のように、「高校生ですねぇ」と感想を呟いてしまう。自分が高校生の時に活躍していたサッカー選手たちが、指導者になるくらいの時が過ぎている。現役生には、この短編集は、どう映るのだろうか。大人がどれだけ言葉を重ねても動かない子の心を、一枚の絵が動かすこともある。ひとつの学校をとっても、生徒の数だけ物語があるんだな。卒業できない人もいる。年を重ねられない人もいる。年を重ねる度、「かけがえのない」という言葉の重みが、増してきているように感じる。

 

 

村上春樹さんの作品を多く読んだ月でした。

著者ごとの個人的なお勧めとかも書いてみようかな。

 

 

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著者:ルート


不登校の子どもたちの支援者として働いているルートです。中学校1年生の時の不登校体験や大学院時代の休学体験を活かし、同じ悩みをもつ子どもたちの支援者となりました。 メールでお子さんの相談を受けたこともあります。お困りでしたら、何か力になれるかもしれません。

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