暗闇にほのかに灯る光のような原田ひ香さんの小説の感想まとめ

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1.ランチ酒

祥子の職業は「見守り屋」。夜通し依頼人の頼みに応じて、何かを見守る。それは人だったり、ペットだったり。仕事明け、ランチで酒を飲むのが祥子の楽しみのようだ。世の中の時間の流れと逆行しながら、不安になることもある。ただ、彼女を必要としてくれている人も確かにいる。依頼人の人生は一言では語れない重いものもある。しかし、祥子によって一晩限りのフィルターで見る世界は、通りすぎていく駅のようでもある。祥子の見守りを必要としている人は、他にもまだいるかもしれない。一つ一つの話が短めで、軽めに読める。雰囲気が好き。

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2.ランチ酒 おかわり日和

満足のいくおかわりだった。前作で祥子の人となりや、それを支える周囲の人の様子がわかった。今作では祥子がより人間らしく、周囲の人と関われるようになってきたように思える。優等生じゃなくていいんだ。失敗したっていいんだ。カッコ悪くたっていいんだ。自分にもできることがあるんだ。自分には自分の居場所があるんだ。自己否定から、自己受容、自己肯定へと、人は回復していく。美味しいご飯を栄養にして、お酒に癒されて。

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3.三人屋

父の喫茶店を引き継いだ三姉妹。朝は三女の朝日が、キタキツネの背中ぐらいの色のトーストとコーヒーを出す。昼は次女のまひるが、うどんを出す。周りからはずるずるとすする音だけが響く。夜は長女の夜月が、スナックを経営している。酒を嗜んだあとの食事には「うまい」それしか言葉が出ない。いつしか三人屋と呼ばれるようになる。常連の大輔曰く、―誰もが一度は三人の誰かに惚れる―。人は誰しも、許しを求めているのかもしれない。その許しは、自分で見つけるしかないのだが、その途中で立ち寄りたくなる店がこの三人屋だ。

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4.三千円の使いかた

「人は三千円の使いかたで人生が決まるのよ」と、中学生の美帆に祖母は教えてくれた。そこから物語が始まる。学び多き本だった。小説だが、前半は生活や金融のちょっとした知恵が学べる。中盤は人生何事もお金だな…と世知辛い展開が続く。しかし最後は、ファイナンシャルリテラシーと人情が融合して心暖かな気持ちになれる。今後も気になる作家さんだ。

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著者:ルート


不登校の子どもたちの支援者として働いているルートです。中学校1年生の時の不登校体験や大学院時代の休学体験を活かし、同じ悩みをもつ子どもたちの支援者となりました。
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