こんにちは。
年間144冊の本を読んでいる、
元不登校生徒、現カウンセラーのルートです。
今日は朝井リョウさんの本の感想を6冊分紹介していきます。
1.何者
光太郎は、ペルソナ5の竜司って感じ。瑞月は、ハチクロの理花さんって感じ。光太郎が一番魅力的に見える。それは、一番等身大っぽいからかな。作られたカッコ良さは、最初は周りの受けがいいかもしれない。でも作られた感じが伝わっていくと、ありのままのカッコ悪さよりも、魅力を失うのかも。というか、カッコ悪いの定義は、いくらでも引き下げていい。そしたら、大部分がカッコいいになる。段々カッコ良さもどうでもよくなる気がする。行き着くところは、等身大のフィット感。大人になるというのは、「丁度いい」を探すことかもしれない。
2.何様
「何者」のアナザーストーリー。時系列で、「何者」の前の話もあれば、後の話もある。「水曜日の南階段はきれい」が、一番眩しいお話だった。光太郎の高校時代のお話。「何者」を読んだ人は、このお話を読むだけでも、本書を楽しめると思う。オムニバスの6作を読み進めるうちに、「当事者」たちの「こんなはずじゃなかった感」が渦巻いていく。整えて着飾ることに、躍起になる時期もある。それが社会的に必要になる時期もある。最後の「何様」にあるように、「本気の一秒」に気付けて、大切にできる感性を育んでいきたい。
3.武道館
「今、この瞬間」の選択が、正解か不正解かは、絶対的なものではないんだと実感した。正解とされる方を選んで傷つく者もいれば、不正解とされる方を選んで自分の生きた心地を確かめる者もいる。後者が悪いとは、この物語を読んだ後では言えない。物語の終盤、「アイドルの恋愛が御法度の時代があった」という内容の言葉がある。日常生活を二の次にしてもステージに立ち続けるアイドルたちが、いつか救われてほしいという、朝井さんなりのリスペクトの気持ちなのかもしれない。選択の是非を振り返る余裕が出てくるのは、いつでも時間が経ってからだ。
4. 学生時代にやらなくてもいい20のこと
エッセイってすごいなって思うこの頃。インパクトのあるエピソードが多くて、「これ書いちゃって大丈夫?」というのもある。でも、それを読んだ感想は、「この人変だな」じゃなくて、「教えてくれてありがとう」になることが多い。自分の経験を、価値に昇華できるってすごいなぁ。自分も、エネルギーの塊だった大学生時代が懐かしい。あのときがあって、今があるなぁ。
5. 少女は卒業しない
自分としては、図書館の先生のように、「高校生ですねぇ」と感想を呟いてしまう。自分が高校生の時に活躍していたサッカー選手たちが、指導者になるくらいの時が過ぎている。現役生には、この短編集は、どう映るのだろうか。大人がどれだけ言葉を重ねても動かない子の心を、一枚の絵が動かすこともある。ひとつの学校をとっても、生徒の数だけ物語があるんだな。卒業できない人もいる。年を重ねられない人もいる。年を重ねる度、「かけがえのない」という言葉の重みが、増してきているように感じる。
6. 星やどりの声
朝井さんの描く男子は、おもいっきり男子だ。それでいて、女子もしっかり女子らしく見える。すごい。星やどりという喫茶店を経営する母と、6人きょうだいの物語。ちょっと泣いてしまった。いがみ合うこともあっても、心の底では、相手のことを思いやっている様子が素敵だ。「誰もね、自分でわざわざ悩みを作ったりなんかしないのよ。みんな、いろんなことに悩んで、それでも生きてるの。そうしていく中で…そういうものに頼ってしまったりする人もいるのよ」
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