2018年9月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2191ページ
1.神曲 (まんがで読破)
地獄、煉獄、天国を旅して、ダンテが何かを悟っていく。神話に出てくる人たち(神様?)が何人か出てくる。庶民代表みたいな感じで「私はこういう罪を償うためにここにいるのです」と話す人もいる。悩み、苦しみ、闇の世界に落ちたとき、そのまま這い上がれなくなるか、光に導かれて新しい役割を担えるようになるか。ちょっと抽象度は高いけれど、不登校からの回復の物語として読めなくもないな。
2.罪と罰 (まんがで読破)
この物語には、自分の欲望を叶えるために手段を選ばない人と、自分の苦しみを耐えて人の幸せを祈れる人が出てくる。前者の方が満たされていそうだが、そうではないかもしれない。心という点では、後者の方が満たされているのかもしれない。夢から覚めたラスコーリニコフは、ソーニャを抱き締めながら悟った。「人生には耐え難い苦しみと、限りない幸福があること」を。
3.拝啓、本が売れません
特別付録前まで読み、昔を思い出す。「実況パワフルプロ野球98開幕版」に、「メタルギアソリッド」の体験版がついてきたっけ…。この本は著者の額賀澪(ぬかがみお)さんの成長の物語だ。popを書いてくれる書店員さんと熱く議論し、web関係の方のアドバイスで公式サイトを作成し、デザイナーさんのアドバイスで表紙を工夫し、本の売り方を再確認していく。甲子園や、RPG等が好きな人に、この本はおすすめだ。小説家の成長を目の当たりにできる、貴重な本である。ひたむきに頑張っている姿は、応援するファンを増やしていくに違いない。
4.死に至る病 (まんがで読破)
皆多かれ少なかれ自分自身に絶望を抱いている。キェルケゴールはそれを「死に至る病」と呼んだ。誰しも今の自分には満足していない。変わりたいという思いを持っている。テーゼはアンチテーゼを産み出すが、その2つが統合されたとき、どちらも含んだジンテーゼとなる。人は感性的に、刹那的に生きることもできるが、残るものは少ない。倫理的に生きることもできる。とはいえ、自分を見つめ続けるのは辛い。キェルケゴールの言う「死に至る病」は、自分が自分である責任を放棄してしまうこと。逆風の中でも、前を向いて歩き続けなければならない。
5.こころ (まんがで読破)
先生は想う。「静が好きだ」「苦しい生活をしているKの力になりたい」。但しそれは、パノプティコンの要にいる自分の視点からのみ成立する想いだった。(先生から見た)独房の壁が取り払われ、静とKが関わるようになったとき、2人への想いは一変する。だから新たな想いが生まれたのか、先生は「人間全体を信用していない」。先生は「自分を本と酒で生き埋めに」してなんとか生きてきた。だがそれももう限界かもしれない…。時代の移り変わるとき、先生は次の時代を生きるものに、想いを託して、幕を、引こうとしている…。汽車は走る。
6.カラマーゾフの兄弟―まんがで読破
ああいうエンディングは時代の現れなのかなぁと感じた。『罪と罰』もちょっと似てたしね。イワンはデスノートの夜神月っぽいなぁ。グルシェンカはすごいファムファタルだ。でもドミトリーへの想いは本物なのかなぁ?難しい。最低でも文庫三部作は重厚だなぁ。いつか原著を読んでみたい。
7.破戒 (まんがで読破)
タイトルは戒律を破るって意味かな。差別のお話。人の弱さゆえ、何か批判の対象をもって、優位に立ちたいんだろうなぁ。違いを知るだけなら区別なんだろうけど、そこに優劣が生まれると差別になるのかな。例えば不登校において考えてみると、生まれながらにして不登校の人はいない。関係性の中で、誰しも不登校になりうる。不登校の過去があっても、未来が曇ることはない。むしろその経験をバネにしている人を、多く見てきたつもりだ。そしてそんな支援をしていきたい。みんな違って、みんないい。
8.男も女もみんなフェミニストでなきゃ
性別で優劣を決めるのはやめましょうって話。たしかに著者の言うように、ホテルに泊まるときに女性だからっていうことで拒否されたりするのは困る。著者が辞書で調べたところ、「フェミニストとは、社会的、政治的、経済的に両性が平等だと信じる者」とあるとのこと。著者結び「(ジェンダーについては)女も男も、私たち「みんな」で良くしなければいけないのですから」
9.ストラディヴァリウスを上手に盗む方法
中編が三作。表題作は音楽的知識に優れた探偵の話だった。実際にコンサートを観に行ってこんなことが起きたら困るな…。二つ目のワグネリアン三部作は、短編が三作という構成。ワーグナーの専門的知識を全面に押し出しながら、どこかコミカルに物語が進んでいく。和久祢梨亜ちゃんはめちゃめちゃ面白い笑。友だちと何かをサッカーで例えて話すことはあるけど、ワグネリアンさんたちはワーグナーに例えて話すんだね。
10.ナナメの夕暮れ
若林さんのエッセイを読むのは三作目。今作を「青年とおっさんの不明瞭さ」と表現している。自分も年齢の十の位が上がり、一年が経とうとしている。この狭間の感覚を、自分も感じていると思う。仕事柄、人とは分け隔てなく接する事ができる方だ。「元気が出ました」という声に、自分も満たされることも多い。社会での活躍の一方で、内側は固められていない。聞こえてくる周囲の平均と比べ、「自分は学生時代が長かったから…」と言い訳する。…と、そんな風に沈み混む気持ちを、笑いは急角度で変えてくれる。自分も人を笑わせられる人生を生きたい。
11.ファーストラヴ
それぞれの形のファーストラブがある。恋人同士だけでなく、親への愛、子どもへの愛、兄弟への愛、友情と境目のわからなくなる愛、など。自分が頂いてきた愛を、大体の人は普通として受け入れる。社会的に深い関係性の中には、必ず愛は存在するだろうと、盲目的に考えてしまう。そこにある盲点は、迷宮に繋がっている。登場人物みな個性的でよかった。我聞さんの包容力がすごい。欲を言えば、彼の過去ももっと知りたかった。迦葉の人たらしなところも単純にすごいなって思う。心理職を目指す学生さんは、ぜひ読んでみて欲しいな。
と、こんな感じで11冊読めました。
kindleセールで「まんがで読破シリーズ」をたくさん買いました。
10月もまだストックがあるので、読んでいきます。
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