自動車学校にぼくはそんざいしていなかった

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僕が自動車免許をとったのは26歳の時。

 

僕が住んでいるのは地方なので、だいたいの人たちは

18歳、高校卒業時に免許を取ります。

免許がないと、車がないと、就職もままならないから。

 

大学に進学する人たちも、

長い長い大学生の夏休み、春休みを使って、

免許を取りに帰ってきたり、

あるいは通っている大学のそばで免許を取ったり、

 

それが「普通」でした。

 

 

それからすると、

僕は「普通」ではありませんでした。

 

 

まぁ免許が取れなかった理由は単純なことで、

お金がなかったからです。

 

母子家庭で育った僕は、

奨学金と自分のアルバイトの稼ぎで学生生活をおくっていたので、

とても免許取得のためのお金を貯めることはできませんでした。

 

大学4年間、

大学院4年間(修士2年間、1年休学、2回目の修士2年生)

の学生生活をようやく終えて、

いざはたらくぞぉ、ってなったときに、

ローンを組んで、念願の免許を取りに行けることになったのです。

 

 

(いやぁ、つらかったですよ)

(「男なのに、免許持ってないの?」とか言われてたりね)

(周りの学生にとっても、免許があるのが「普通」だったんです)

 

 

 

自分よりも全然年下の、制服姿の子たちと一緒に、

自動車学校の送迎バスに揺られていた僕。

 

ちょうどほかの人たちを全員おろし、

僕ひとりになったタイミングで、

信号待ちの時に、

運転手のおじさんが、僕に話しかけてきました。

 

 

「兄ちゃん、なんで今まで免許取らなかったの?」

気軽な質問でした。

 

僕はさっき書かせてもらったように、

「学生時代は時間はあったんですけど、お金が工面できなくて」

「免許が必要になることもなかったんです。でも働くので、」

「やっと今自動車学校に通えているんです。」

と説明しました。

 

 

自分の座っている座席から、

運転手さんの目をルームミラーでみながら、

聞こえるように少し大きめな声で話したつもりでした。

 

 

 

信号が青になり、動き出す車。

それと同時に運転手さんは言いました。

 

「そんなやつ、おらんやろ」

 

僕は驚きましたが、続けて運転手さんは、

「ってことは兄ちゃんは、学生時代は東京で過ごしていたのかい?」

と聞いてきました。

 

 

車があまり必要ない=東京

という認識をされたようでした。

 

 

僕は、

ぃゃぁ、同じ県の大学にぃってぃたんですけど、

と、もしかしたら蚊の鳴くような声で説明していたかもしれません。

 

まもなく、降車場所についたので、

僕は車を降りました。

 

 

翌日の教習中、教官の先生から、

「兄ちゃん東京帰りなの?」

と聞かれました。

 

 

もちろん、昨日話した運転手の方とは別の人です。

 

その瞬間から僕は、

「学生時代免許を取れず苦労してきたルート」ではなく、

「東京帰りの兄ちゃん」という存在になりました。

 

自動車学校に、ぼくはそんざいしていませんでした

 

 

まぁちょっとネガティブな空気にしちゃいましたけど、

大丈夫でしたよ。

 

 

中には、ちゃんとわかってくれる教官の方もいました。

(次第に僕は透明人間じゃなくなっていきました)

 

 

 

この話で僕が伝えたいのは、

人はあなたを、思い込みで見る

ということです。

 

 

 

これは誰にでもあることです。

もちろん、気を付けていても、

僕もそうしてしまうこともあるでしょう。

 

 

このようにして、

自分の経験則に照らし合わせて、相手を見てしまうことを、

「バイアスがかかる」といいます。

 

誰しも、自分の経験は大事にしたいのです。

無意識のうちに。

 

 

でもそれだと、

ときには、目の前の人の「ありのまま」を見ることができなくなる。

 

僕もまだまだ修行は必要だと思いますが、

出会う人たち、あなたの「ありのまま」を、

しっかり見れる人になりたいです。

 

 

 

最後に、今日のお話の参考になるお話を引用します。

―南アフリカの北ナタール族の人々は、
毎日「 Sawa Bona」(私はあなたを見ています)と言ってあいさつします。
相手は「 Sikhona」(私はここにいます)と応じます。
こうした人々の間では、人は誰かが見るまで存在しません。
あなたが相手を見ることで、相手を存在させるのです。
まさに「あなたが私を見るから、私は存在するようになり、私はここにいる」というあいさつのとおりです。―

ボブ・トビン著

『ポジティブ・インパクト まわりにいい影響をあたえる人がうまくいく』より

 

 

今日も「いま、ここ」で僕を見つけてくださって、

ありがとうございます。

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著者:ルート


不登校児童生徒のカウンセラーをしています。小学校⚽キャプテン、中学校テスト学年一位から、不登校という分かれ道に迷い混み、苦しみました。あのときの暗さ、冷たさから救ってくれた仲間たち。ありがとう。人生の岐路で、一緒に考えるお手伝いをします。大事な選択は、迷ってもいいんです! NDQメンバーです。
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