登場人物の一人称単数の視点で、あらゆる小説は紡がれる。
読み手として小説を読むとき、
それらは全て三人称単数の物語ととらえられそうだ。
私以外の、彼、彼女の物語だから。
また、作者の体験が反映された文章、
つまりエッセイなどは、「作者さんあなたが主役の物語」、
つまり二人称単数の物語と言えそうだ。
村上春樹さんが「一人称単数」というタイトルで書いた「小説」である本作。
読み終わった私は、やや混乱している。
小説を読んだはずなのに、エッセイを読んだ感覚になったから。
世界と物語の境界線が薄れるこの体験を、もう少し味わっていよう。
この記事へのコメントはありません。